No.122 全国に挑む後輩たち 4



全国に挑む後輩たち 4

関東新人を終えて 県新人後も、相変わらずの気象変動で調整しにくい日々が続く。 われわれの高校は中間試験の真っ最中であるが、 関東選抜(県で上位2名の全関東新人大会)のため茨城の笠間へ 向かった。午前中の試験を終えてすぐに出発。 さらには毎度の降雨でスピードトレーニングはできていない。 まあ、それは全員が同じ条件であるから仕方なしとしても、 うちの場合は選手のケガが心配される。 ★初日 100mの後藤と110mHの奥岡、400mRが出場する。 100m予選で後藤は10秒85で危なげなく走って見せた。 スタートの課題も修復され、持ち前の前半に決める形で駆け抜けた。 最高速に乗る箇所での課題を監督とチェックして(私にはこれ以上 解らないので、このようにしか書けない)決勝に臨む。 調子は悪くないようだ。 奥岡は両ハードルと、両リレーがあるので来年の関東の予行と してはいい試合だ。実際は6月に北関東4県の中での戦いだが、 インターハイに行けば南関東勢がごっそり出場してくるので試運転できる。 予選は15秒29(−0.3)で通過した。 この日、埼玉は降雨で寒かったが、茨城の笠間は幸いにも冷雨はなかった らしい。しかし気温は低い。さて後藤をアンカーに据えたデビュー戦の 4×100mRは、 石川・奥岡・伊藤ユ・後藤のオーダーで臨む。 予選は42"76で通過。決勝は42"66で7位であった。伊藤裕一郎も復調なった。 さて100mの決勝。結果は10秒85で3位。追い風0.3m。 監督の解析によると、予選での注意点を活かしてスタートは最高。 30mまでトップ通過。しかし中間加速のギアに入りきれないまま、 追いつかれてしまった・・・とのこと。まだまだ課題が残るという内容だった。 110mHは15秒28。風は無しで3位。監督の技術解析は私には難しく てうまく書けないが、「ハードリング自体」を大きく直さねば14秒6台 への道は厳しいだろうと・・・インターハイの決勝へ進むには、 準決勝でそのタイムが必要なのだ。 偶然にも後藤と奥岡は予選・決勝が同タイムになった一日であった。 ★ 二日目 400mHの選手がいつも悩むのは、マイルリレーとの兼ね合いである。 森丘も鳥海も「関係なく走った」というが、400mを一日3本と いうのは確かにつらい。かつて日本選手権の400mHで4位になった 34回石塚さん(現・浦和高校監督)も言っていた。 「高校時代3本目はフラフラだよ。何本やっても疲れない怪物もいる だろうけど、普通は疲労が蓄積する。個人選手を除いたメンバーで 準決勝通過できないと共倒れになる」といっていた。 自身、春高時代も大学時代も400mHと1600mRの両方を 掛け持ちし続けてきたのだから。 この日も奥岡は400mHの予選決勝、1600mRの予選決勝があるが、 いくら何でも4本こなせるはずもない。決勝がメタメタでよいなら走れようが、 そうもいかない。周囲もそれは分かっているし、当然の策なのでリレーの 予選では外すことになる。伊藤は言った。 「奥岡抜きでも来年の関東の決勝に残ってみせる!」両リレーの中核をなす 伊藤の心強い一言だ。 結果は石川謙一・橋大・伊藤裕一郎・伊藤直輝のオーダーで3'24"21 。 予選落だった。それぞれのLapは51"6・50"0・49"3・53"4。 高橋の50秒0も素晴らしいものだ。アンカーには1年生の直輝が入ったが、 いい経験になったろう。いかんせんやっと16歳なのだから冬を越えれば 何秒短縮できるか楽しみである。 400mHの予選は55秒49。決勝53秒88 の2位であった。あと半年後には、 それぞれ1秒短縮しなければならないだろう。着順をねらってレースをする 余裕はインターハイではないだろうから。    ちなみに現在開催されている埼玉国体の準決勝最低通過タイムは53秒6である。 しかもこれは各県一人のみの試合なので人数はかなり少ない。 インターハイは66人出場してくる。 参考までに決勝の記録。入賞確実には52秒中盤を決勝でマークしなければいけない。 少年男子共通 400mハードル 【熊谷スポーツ文化公園陸上競技場】 決勝 10月25日 順位 選手名 県名 所属 記録 1 安原 晃司 北海道 東海大四高 50秒97 2 岩瀧 佑貴 福岡 修猷館高 51秒23 3 今井 順也 岐阜 県岐阜商高 51秒85 4 山本 真也 千葉 成田高 51秒87 5 斉藤 太郎 山梨 韮崎高 52秒44 6 加藤 幸真 鳥取 倉吉東高 52秒53 7 桑山 修一 愛知 春日井南高 53秒35 8 竹廣 秀章 広島 沼田高 54秒24 ★ 冬季へ この試合でさまざまな要素が浮き彫りになり、多くの課題が収穫できた。 今、チーム内ははっきりとした数値的目標が掲げられ、やる気モードで いっぱいだと思う。練習が楽しくて仕方ない選手も多いだろう。 それでいいのだ。監督は助言をするだけでいいくらいの「自主自立」を! 競技は他人に強いられてやるのではない。 楽しいから陸上部で自ら練習するのである。 これが脈々と90年流れる「春日部高校陸上部の精神」である。 筆・のもと歯科クリニック  野本 順一 <<前へ 次へ>>