No.160 赤き疾風完結4  セミファイナル


★ セミファイナル ここで決勝の出来が予測できる大事なレースだ。 後藤は予選の10秒60が効いたのか、二組。 この時点で流れは俄然後藤に。 準決勝スタート! 後藤はダッシュですでに半身リードすると30m地点では 1m以上の差をつけたまま、涼しげな表情で走り終えた。 まるで練習しているかのような落ち着きぶり。 それで10秒54、無風である。 自己記録は昨年の千葉でチャンピオンの石塚選手と走った 10秒52(+1.4m)であるが、確実にそのレベルは大きく超えている。 頂上決戦では、記録ランキングなど全く意味のないことを改めて思った。 関東も、日本ジュニアもきちんとした風が追えば 10秒4を切れる力はあったのだから。 ここで第三組にハプニングがおきた。 強豪である日本選手権で高校生唯一決勝に進んだ荒尾選手、 ランキングトップの江里口選手、東北のチャンピオン我孫子選手、 ライバルの熊本選手らは第3組でぶつかってしまった。 結局ランクトップの江里口選手はセミファイナルで落選。 二年生で関東の200mを制したサラブレッド小林選手(保善)は棄権した。 他の組は、みな着順を争うため苦悶の表情、 顔をゆがめてのフィニッシュであった。 結局、後藤の10秒54は今大会最高記録でらくらく通過。 しかも後半は左右を見ながらのリラックスランであった。 野「・・・後藤、流してるよね?」 石「・・・流してます。」 野「・・・絶対勝てるね・・・」 石「・・・勝てますね・・・。」 私と石上は確信した。 正直、私くらいの眼力で見ても後藤は絶対優勝すると思った。 インターネットでの記録速報だけでは、決して伝わらないレースの内容。 やはり現場にいると選手の表情、レース展開、気象状況など、 様々なファクターが感じられる。私も石上も、吉田も中山も確信した。 「後藤は勝てる。」 そう思った瞬間、なんだか怖くなってきた。 想定したとはいえ、本当に春高から100mチャンピオンが 生まれるなんて・・・いざ実感すると、想像しただけで鳥肌がたった。 反面、スタート直後に肉離れして離脱しないだろうか・・・・ もしケガをしても二年連続入賞は確定したのだから、 せめて完走して欲しい・・・・と勝手な思い込み(妄想?)が頭をよぎった。 準決勝2組  風:+0.0 順位 レーン No. 氏名 所属 記録 コメント 1 7 406 後藤 乃毅 (3) ゴトウ ダイキ 春日部                                 埼 玉 10.54 2 5 52 岩村 弘基 (3) イワムラ ヒロキ 札幌南                                 北海道 10.64 3 9 761 平松 巧至 (1) ヒラマツ コウシ 磐田南                                 静 岡 10.80 4 3 807 田口 博崇 (2) タグチ ヒロタカ 愛工大名電                                 愛 知 10.84 5 4 1009 井上  諭 (3) イノウエ サトシ 滝川二                                 兵 庫 10.89 6 2 936 池田 宇門 (3) イケダ ウモン 大阪                                 大 阪 10.89 6 472 久保田 裕是 (2) クボタ ヒロユキ 東海大浦安                                 千 葉 DNS 8 517 小原 慎吾 (3) オバラ シンゴ 早稲田実                                 東 京 DNS つづく

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