No.165 赤き疾風完結9  魂のラストラン決勝


★ 魂のラストラン 200m決勝 さすがに決勝は、顔ぶれが揃った。 我孫子選手(上山明新館)は400mも47秒3で走れるスタミナを持つ。 100mでの雪辱を果たしたいところだろう。 黒川選手(新潟明訓)は2004年埼玉国体少年Bで後藤を破り優勝、 昨年は金丸、石塚のスターと競って二年生ながら4位に入っている。 小林選手は二年生だが南関東の覇者。 100mでは準決勝を棄権しているので、得意の200mは何としても狙いたい。 久保田選手(東海大浦安)は昨年の少年B覇者。伸び盛りの二年生だ。 スタートで我孫子選手が飛ばす。 だがみんな遅れない。 400mでも本来、優勝を狙えるスピード維持力がある安孫子選手が、 二年生の久保田選手の猛追をかわして逃げ切った。 後藤はセカンドグループで4着に滑り込んだ。 またしても無風であったので記録更新はならなかったが、 立派な自己二番目の記録であった。 優勝の我孫子選手はゴール後に転倒。 いかに厳しいレースであったかを物語る。我孫子選手は語った。 「20秒台を出したかったが、そんな余裕はなかった。・・・・」 東京の小林選手は完走したものの25秒。 100mに続き上位進出はならなかった。 やはり大阪長居の「高速トラック」の「硬さ」がジュニアの脚には負担が大きいようだ。 棄権やら故障やらが目立った短距離の試合であった。 200m決勝   風:+0.0 順位 レーン No. 氏名 所属 記録 コメント 1 4 236 安孫子 充裕 (3)   アビコ ミツヒロ 上山明新館  21.14                         山 形 2 7 472 久保田 裕是 (2)   クボタ ヒロユキ 東海大浦安  21.17                         千 葉 3 6 605 黒川 哲雄 (3)    クロカワ テツオ  新潟明訓   21.39                         新 潟 4 5 406 後藤 乃毅 (3)    ゴトウ ダイキ 春日部    21.44                         埼 玉 5 3 801 羽根 聖也 (2)    ハネ セイヤ   藤枝明誠   21.47                         静 岡 6 8 226 坂本 朝洸 (3)    サカモト トモヒロ 横手清陵学院 21.49                         秋 田 7 2 83 山下 貴大 (3)    ヤマシタ タカヒロ 札幌一    21.67                         北海道 8 9 514 小林 雄一 (2)    コバヤシ ユウイチ 保善     25.19                         東 京 ★ 大阪の夏で酒を酌み交わす 荒木さん、後藤さんら四人の大先輩に、 我々若輩組がお酒をご馳走になった。 先輩方から見れば現役選手は孫のような歳ではあるが、 間違いなく同じ場所で、同じ汗を流した。 昔の思い出も交えながら、今日を振り返った。 全種目成功するはずはない。先輩たちの経験でもそうだったという。 「もしあそこで・・・」 「あと一点を取れば・・」 日本全国の高校でみな、これを繰り返している。 過去に幾度ものチャンスがあり失敗も成功もあった。 いや、失敗というのは表現の間違いだ。 努力の結果、最高の結果には及ばなかった・・・というべきだ。 期待通りに行くほうが圧倒的に少ないのだ。 みんなそれを経験してよく解かっている。 プラスに考えれば中一日の休養があったから200mの二人が 好記録をマークしたとも考えられる。 ただでさえ医務室やら病院やらへ運ばれる状態だ。 気温表記は32度あたりというが、体感的にははるかに暑い。 8月4日のクールダウンを経て、田中は21秒6という、 「全国トップ10」もの好位置に着けた。 後藤は3レースきちんと走りきれ、13点をたたき出せた。 総合9位。 もちろんそれをたたき出したのは、チームプレイがあってこそだ。 昨年から奥岡らも言っていたように、 「みんなで切磋琢磨した結果、強くなれた」という事が 全てを物語っているように思う。 一人や二人の強い選手を寄せ集めただけでは、 こんな素晴らしいチームは成り立たなかったろう。 監督の、部員の、OBの魂が大阪インターハイでの 春高陸上部を昇華させたのは間違いない。 アナザーストーリーをもって、赤き疾風は終稿する。 37回 野本 順一 アナザーストーリーヘ

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