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No.19 五輪の象徴 カール・ルイス 3



五輪の象徴 カール・ルイス 3

   5,東京100mファイナル 栄光の8人はソウル五輪のメンバーと、バレルや、F・フレデリックス(ナミビア) など「新旧のスター」が揃った。号砲一発!先ずバレルが飛び出した。L・クリスティー もこれに続く。ルイスはいつも通り中盤に位置する。50mをすぎても抜け出た選手 はいない。ルイスは5位くらいに着ける。バレル、クリスティーが先頭で70mを通 過。これで決まったかに誰もが思った。その瞬間、あきらかに再加速して来たかのよ うな追い上げをルイスが見せた!会場、いや全国中が驚きの声を上げたろう。アナウ ンスも「バレルがいい!クリスティーもいい!あっルイスが来た!ルイスが来た!」 今でも耳に残る中継である。何とルイスが残り20mでごぼう抜きをやってのけた!。 上位6人が横一戦でなだれ込んだ。 6,「21世紀の記録」 「勝ったのはルイスか!?ええっ?ああっ!おおっ?世界新記録だぁー!」絶叫する アナウンサー。それもそのはず、2人が9秒8台に突入したのである!優勝はルイス 9秒86、2位のバレルは9秒88。バレルは「え?オレ負けたのか?」と驚いた様 な顔だった。2人の世界新も格別だが、何と上位6人が9秒台をマークした、人類最 高のレースだったのだ。 世界記録は現在更新されたが、ファイナル8人の平均タイム、そして6人の9秒台は いまだ破られぬ「歴史上最高の100mレース」である。テレビを見ていた私も、ゾ クゾクして異様に興奮し、しばらく治まらなかった。・・しかしこの数日後,もう一 度この興奮を味わう幸運にめぐまれる事になる。 アナウンサーは言った「21世紀にはいりました。」 男子200mはMジョンソンが0・3秒差の圧勝だったが、向い風3m。20秒0にと どまった。100mの様に追い風1mでも吹いていたなら、間違い無く19秒7くらい (あるいは世界新も)は出ていたろう。かくもルイスは、「主役」を歩く運命になる らしい。他の短距離も軒並み向い風に好記録を阻まれた。 7,「史上最高の幅跳び」 とにかくルイスは絶好調。当然、得意の幅跳びに期待が集まる。Mパウエルも調子が いい。元は高跳びの選手らしい脚の長さ、腰の高い弧を描くジャンプ。決勝は最初か ら二人のマッチレースになった。そしてその超ハイレベルな競り合いに場内は騒然と なった。一試合で二人が8m70〜80付近の争いになったのである。人類史上こん な試合は、始めてであるのは間違い無い。「ひょっとしたら・・」あの不滅の世界記 録ボブビーモンの記録に届くかも・・・不滅の金字塔「8m90」。23年間全ての 人類をはね除けて来た、最古の世界記録である。期待は高まる。 8,「ビーモンを超える!」 ルイスもパウエルも眼光鋭く、テンションは高揚しきっている。ルイスが8m91を マーク!凄まじいジャンプだ。しかし風は2mを越えていた。ルイス優位に立つ。し かしその5回目、パウエルが歴史に名を残すジャンプを決めた!9m付近に着地した! 。 アナウンサーは取り乱す。「き記録は?・・はっはあ8m95ーっ!世界新記録だぁー! !」会場は割れんばかりの大歓声。ルイスは表情が固くなるが、さすがに取り乱さず 6回目を跳んだ。8m87をマークするも及ばず。私らは公認(しかも向い風)8m8 7での敗者を、人類史上始めてみる事になった。結局、世界記録を追い風ながら超え る8m91で2位に甘んじてしまった「世界で唯一の珍事」である。 9,「東京大会」はルイスのために 100mといい、幅跳びといい、世界最高記録で優勝を2人が競い合うという「人類 最高レベルのゲーム」を演じてみせた「ルイス」。こういうレベルの試合はもう二度 と見られないかも知れない・・・。全く「ヒーロー」になる星の元に生まれた、とし かいえない男であった。ブブカが「鳥人」なら、ルイスは限界をしらない「超人」で ある。 1600mRでお家芸であるはずのアメリカチームは、イギリスに後塵を拝す「みじめ な負け方」をした。(まだM・ジョンソンは、走ってない)しかし400mRは世界記 録2人を配し、全員9秒台のアメリカが、37秒41の世界新で圧勝!アンカーはも ちろん超人カールルイスであるのは、言うまでも無い。 国立競技場の「超高速トラック」を世界に知らしめ、マラソンの谷口、高野進もヒー ローになれた。そして世界新記録すべて、ルイス一色で終わった感のある「東京世界 陸上1991」だった。 筆  のもと歯科 (2000年) <<前の記事へ 次の記事へ>>