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No.89 最悪の100m



最悪の100m

パリ世界陸上で前半戦もっともニュースになってしまったのは、世界新記録ではなく てトラブルであった。 ★最悪の結末 世間一般の方々は、ハンマー投げ80mのすごさや400m43秒台の価値は浸透し てはいないだろう。しかしこの20年カールルイスのおかげで100mの勝負が9秒 台で競われる事は常識となっている。 結果から言えば20年も前の初回記録に並ぶワーストタイとなってしまった。初代 チャンピオンはルイスなのだが、この当時は10秒を切れれば大記録だった時代だ。 これと比べるのはフェアじゃあない。つまり過去最悪の結果が今回のパリ大会であ る。 <男子100m結果> 決勝 1 Collins Kim SKN 10秒07   2 Brown Darrel TRI 10秒08   3 Campbell Darren GBR 10秒08   ★一度も出ない9秒台 全ラウンドを通じて誰も10秒を切ることはなかった。この理由にはいくつかあげら れる。 1、フライングルール 織田祐二さんも言っていたが、フライングの失格条件はおかしい。初回は誰でもいい のだ。従って下位記録を持つレベルの選手が頻繁に飛び出す。2度目に反応した選手 は無条件で失格。しかも器械のセンサーのみに頼る仕組みもどうなのか?スロー再生 しても肉眼では分からないのに、センサーが表記されれば確信犯とされる。足が動い ていなくても、足裏の体重移動があったらどうなのか?しかも一度に複数の失格が出 る。 こうなると全員が固くなる。2回目のスタート前にはタイミングもまだ修得できない うえ、身に覚えの無い失格もありうるのだ。第2予選のドラモンド(米)の失格騒ぎ で観衆のブーイングもエスカレートした。ピストル前の「待った」ばかりが増える。 こうなると「安全なスタート」をとらざる得ないのだろう。ドラモンドと同じレース を走ったアトボルドンは壁を殴っていらだった。過去の銀メダリストの彼は準決勝で 10秒22で落選した。世界記録対決のモンゴメリーとグリーンも敗退。インタ ビューでみな「フライングルールはおかしい!」と抗議、力説。雰囲気は最悪のラウ ンドとなっていった。イギリスのチェンバースもメダルに食い込めず、優勝候補は全 滅した。 2、スター不在 これは陸上全体にいわれているが、圧勝を続ける大スターが少ない。9秒8台はマー クされるが、それは記録狙いのローカルレース。本番でマークされなければ大衆は注 目してくれない。注目が最も高まった最終舞台で、世界記録で勝つ「定番」がいない のだ。誰もが知っているヒーロー不在。誰が買ってもおかしくないと混戦ばかりがお こり、ムードもあがらない。いつも昔話ですまないが、ルイス、ジョンソン、ブブ カ、ジョイナーの名は広く認知されている。このスター達は五輪と世界陸上の決勝で 世界記録をマークしてきたのだ。今現在視聴者が名前を挙げられる選手はいったい何 人いようか? 世界記録をマークした決勝(リレーを含めばさらに複数ある) ルイス 100m87ローマ、88ソウル、91東京 ジョンソン 200m96アトランタ、400m99セビリア ジョイナー200m88ソウル(100mも実質世界記録) ★今後の改正は? ドラモンド選手は「問題を起こした主犯」として、異例の「大会追放」をくらった。 今後大きく物議をかもしそうなフライング問題だが、ルール改正の提起になるのは間 違いないだろう。織田祐二さんのいう通り「だったら初回からフライング失格にすべ きだ」という発言は、素人ながら的を得ていると思う。 筆 のもと歯科 <<前の記事へ 次の記事へ>>