No.4 ブブカの異形
ブブカの異形
ブブカの復活は? ソビエト連邦時代から、棒高跳びの牙城に君臨し守って来たブブカだが、年齢からく る衰えは隠せない。先日のスーパー陸上では、脚のケガもあって現在は5m60も苦 しい状態。往年の「神がかり的な強さ」を知っているだけに寂しいものがある。世界 記録更新35回、人類で始めて6mを越えた人間。 インドアの6m15が最高記録だが、スポンサーのボーナス制を意識したため、一度 に何度も更新しない。だから最盛期なら6m20は跳べたとする声が多かった。そし て「世界陸上」では97アテネ大会まで土付かずの全勝。ケガが深刻になった99セ ビリア大会は欠場しているが・・。まさにこの15年「独占優勝」だった。しかしな ぜか五輪には縁が薄い。バルセロナ、アトランタでは記録無しに終わっている。ソウ ルの優勝のみである。 優勝か欠場か・・だから「銀・銅メダル」は一切ない。あまりの長き帝王時代のため、 No2の選手から愚痴もこぼれる。「鬼のいぬ間」に優勝したマキシムタラソフ(ロ シア)は92バルセロナ五輪では「ブブカがいなかったから・・」99セビリア世界 陸上の後では「もう彼(ブブカ)の話はやめてくれ。勝ったのは私だ。私はタラソフ だ。」とまでコメントした。この10数年間、棒高の選手達は皆「2位争い」をしい られてきた苦しみを持っているのであった。 あまりに選手の平均を超越してしまったブブカ。競り合いが無いため孤高の戦士であっ た。ポールの改良でいつかは記録更新されるだろうが、彼程「圧勝し続けられる選手」 は、この競技でもう出ないだろう。まさに「不世出」の超人だった。 面白いエピソードもある。10種競技をやったら間違い無く世界最高記録をぶっちぎ リで出せると言われていた。100m10秒1、幅跳びはゆうに8mを越えた。棒高跳 びの筋トレで投てきもこなせる。1500mをなんとか走れれば、個々の能力でダン オブライエン(米)を明らかに上回る。混成で時間のかけられない棒高でも、計5本 くらい跳んで5m70は固いだろう。それは他の選手に、70cmもの大差がつく異常事 態になった事だろう。 1999年筆 のもと歯科 <<前の記事へ 次の記事へ>>