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No.106 世界最年少制覇のドレクスラー


世界最年少制覇のドレクスラー

コアなネタであるが、世界陸上での最年少チャンピオンはだれであろうか? そう、冷戦の時代までさかのぼるが、東独の女性・ドレクスラーである。 前回シドニーも勝って、世界制覇の1983年から現在21年目を迎える 「現役」なのだ。今年のアテネはどうするのか・・? その決断が最近発表された。 1、17歳で世界制覇 東独のドレクスラー その選手は誰あろう、今年のシドニー五輪幅跳び金メダリストでもある 「ママさんジャンパー」、ドイツのハイケ・ダウテ・ドレクスラー(35歳) である。若干17歳にして1983年ヘルシンキ世界陸上で7m27(追参) の好記録を跳び、最年少金メダルを獲得。「若き天才」は、現Jr世界記録 としても残る7m14など、様々なタイトルを手中にした。あれから17年。 160もの試合の中で、400回以上も7mジャンプを記録している彼女は、 文句なしの「女性史上最強の幅跳び選手」である。 2、最強である理由 カール・ルイスが「史上最強のロングジャンパー」であるならば、 女性のそれはドレクスラーであろう。二人は非常に似通っている点がある。 それは短距離でも世界記録をマーク出来るジャンパーである事。数十年前は、 短距離と幅跳びを兼ねる選手は少なくなかったのだが、競争の激化した 現代はそう簡単ではない。この20年に限っては、スプリントと ロングジャンプでメダルを獲得できた選手は極めて少ない。 もちろんカール・ルイスはその代表格であるが、他は?・・・ それはドレクスラーと、あのマリオンジョーンズの計3人しかいないのだ。 ドレクスラーは100m10秒85のスピードを持ち、200m21秒71は 世界歴代4位、幅跳び7m48歴代3位を誇る。第1回世界陸上で早々に 優勝を飾ったドレクスラーは、翌年のロス五輪は東側ボイコットのため 不参加。満を持した87年ローマ大会では、短距離にも挑む。 当時女子短距離世界最強を誇った東独にあって(スプリント種目の世界記録 とタイトルを、東独が独占保持していた!)、100mで代表をつかみ 本戦でも銀メダル!。東独金銀独占を果たした。ちなみにこの時の3位は マリーン・オッティである。そして連覇のかかった幅跳びでは、 「生涯のライバル」と因縁の対決が始まった。2歳年上である 「鉄の女ジャッキー・ジョイナー・カーシー」である。 3、ジョイナー義姉妹との戦い 世界陸上幅跳びの連覇の夢は、ジョイナー・カーシーに阻まれて惜しくも 銀メダル。ジョイナーカーシーは、現7種競技世界記録保持者でもある 偉大なアスリート。7種競技と平行して、今後ドレクスラーとタイトルを 争っていく事になる。 そして翌88年ソウル五輪では、「カーシーの義姉・フローレンスジョイナー」とメダルを競う事にもなった。ドレクスラーは、 あの「不滅の記録女子100m200m」に圧倒され、それぞれ10秒85、 21秒95で共に3位の銅メダルに終わった。タイトル奪回に燃えた 幅跳びも、7m22を跳びながら妹のカーシーに逆転で敗れ2位。 またしても銀メダルにとどまってしまう。ソウル五輪は、ジョイナー義姉妹に 優勝を阻まれる苦い思い出になった。 4、90年代の激動 91東京世界陸上でドレクスラーは7m22を跳躍するも、またもジョイナーに 敗れ2位。しかし翌92バルセロナ五輪では、ジィナーを3位に押さ え9年ぶりの世界チャンピオンに返り咲く。勢いに乗った93年には、 地元ドイツでの世界陸上でも連覇を果たす。この時点で28歳のピーク を向かえ、世界大会3勝目を飾り名実ともにトップに君臨した。 しかし30歳を迎えた95イエテボリ世界陸上では、年齢的限界と故障に 悩まされ9位に終わり、ジィナー(32歳)も6位と7mに届かず ・・・スランプに悩み「引退」も案じられた。続くアトランタ五輪は、 地元のジョイナーが33歳という年齢をはね返し、何とか3位に留まり 意地をみせた。しかしジョイナーにとって、これが幅跳び最後のメダルとなる。 一方のドレクスラーは不調で、アトランタ五輪は出場すらしていない。 5、復活への苦闘 97アテネ世界陸上で二人は揃ってファイナルに残ったものの、 ドレクスラーが4位、ジィナーが5位ともはやメダルに絡めない。 ファンは間違いなく、「二人の時代の終焉」を感じた事だろう。 99セビリアでは「超新星マリオンジョーンズ」も登場し、 ドレクスラーは「もはや過去の人」となったかに思われた。何とか シドニー五輪へやってこれたものの、だれも優勝候補にはあげていなかった。 ・・・しかしフタを開けてみれば、何と「8年ぶり五輪金メダル」!! 一番驚いたのは本人で 「信じられない。本当にラッキー!」 とコメントしていたほど。この優勝は、同時にマリオンジョーンズの 「夢の5冠」を、あっさり打ち崩す事にもなった。しかしそのマリオンも 悪びれず、「私は最強の幅跳び選手(ドレクスラー)と戦ったと、 自分の子供に誇りたい」と語った。やはりドレクスラーの、ここ一番での 集中力、試合運びのうまさは抜群だった。・・・というよりもこの20年 近く、「ドレクスラーとジョイナー以外の選手」が育たなかった事が大きな理由である。なにせ現在では、7mを越えれば優勝ラインなの だから・・・。スピードも無く、20cmものダウンは悲しい。 6、マリオンジョーンズが・・・ ドレクスラーとジョイナーが引退した今後、女子幅跳びのレベルは 停滞しそうである。記録だけならば、マリオンジョーンズが抜け出ているが、 いかんせんスピードを活かす技術が全くない。100m10秒6台で走り ながらも、ジャンプテクニックはあまりに粗雑。その他の選手は7m手前を うろつき、これでは20年前と何ら変わらない。ドレクスラーは過去に 7m44,7m45と2度の世界新記録を幅跳びで更新し、200mでも 21秒71の世界タイを2回もマークしてきた。その「身体能力」を継承 する選手はいない。女王の座は、やはりマリオンに期待するしかないのか? ・・・しかしジャンプテクニックは「センス」によるところが多いため、 マリオンでは厳しい。試合記録も全く安定していない。 やはりドレクスラーには、東独のエリート選手として英才教育を受け、 磨き抜かれた特別な背景条件がある。ドイツ統一からもう10年、 あれほどの「逸材」は、もう生まれてこないのかもしれない。 ドレクスラーは、ある意味「古き良き時代」の最後の選手といえよう。 ・・・ちなみに、彼女は7種競技に参加した事もある。おそらく 「体力テスト」ぐらいの気持ちだったろうが、それでも「現在の世界 歴代13位」である。(ちなみに昨年なら世界ランク2位)彼女の スケールの大きさには驚かされる。 7、アテネは「断念」 結論から言うと五輪は断念する。詳細は以下に記すニュース記事を 参照いただきたい。 [ベルリン 8日 ロイター] 陸上女子走り幅跳びの世界王者、 ハイケ・ドレクスラー(39=ドイツ)は8日、来月開催されるアテネ 五輪を欠場する意向を表明した。選手生活も今季限りで終止符を 打つ。  ドレクスラーは1992年バルセロナ五輪、2000年シドニー五輪で 金メダルを獲得。だが、今季は調子を崩し、五輪標準記録も突破していない。  ドレクスラーは「現在の調子は、必要とされる距離には程遠い状態」 と述べ、「国内、国際のどちらのレベルでもタイトルを狙えないのは残念。 五輪出場を断念する」と心境を語った。  ドレクスラーは今週末の国内選手権には出場し、その後、国際大会の 転戦でお別れツアーを予定している。(ロイター) [7月9日15時7分更新] ♡♥ドレクスラー対ジョイナー幅対決 83ヘルシンキLONG JUMP - Women - Final 1 ハイケドレクスラーGDR 7.27 87ローマ世界陸上 女子 100 METRES Wind: -0.5 m/s 1 ジルケメラーグラディッシュ GDR 10.90(CR) 2 ハイケドレクスラーGDR 11.00 3 マリーンオッティJAM 11.04 LONG JUMP - Women - Final 1 Jジョイナーカーシー USA 7.36 (CR) 2 Belevskaya Yelena URS 7.14 3 ハイケドレクスラーGDR 7.13 88ソウル五輪 100m 1位 ジョイナー(アメリカ)10″54五輪新 2位 アシュフォード(アメリカ)10″83 3位 ドレクスラー(東ドイツ)10″85 200m 1位 ジョイナー(アメリカ)21″34世界新 2位 ジャクソン(ジャマイカ)21″72 3位 ドレクスラー(東ドイツ)21″95 走り幅跳び 1位 カーシー(アメリカ)7m40 2位 ドレクスラー(東ドイツ)7m22 91東京世界陸上 LONG JUMP - Women - Final 1 Jジョイナーカーシー USA 7.32 2 ハイケドレクスラー GER 7.29 92バルセロナ五輪 走り幅跳び 1位ドレクスラー(ドイツ)7m14 2位クラベッツ(EUN)7m12 3位カーシー(アメリカ)7m07 93シュットガルト世界陸上 LONG JUMP - Women - Final 1 ハイケドレクスラーGER 7.11 95イエテボリ世界陸上 LONG JUMP - Women - Final 1 May Fiona ITA 6.98 2 Montalvo Niurka CUB 6.86 3 Mushailova Irina RUS 6.83 4 Rublyova Olga RUS 6.78 5 Uccheddu Valentina ITA 6.76 6 ジョイナーカーシー USA 6.74 7 Karczmarek Agata POL 6.71 8 Vershinina Viktoriya UKR 6.66 9 ハイケドレクスラー GER 6.64 96アトランタ五輪 女子走り幅跳び 1、アジュンワ(ナイジェリア)7m12 2、メイ(イタリア)7m02 3、ジョイナー・カーシー(アメリカ)7m00 97アテネ世界陸上 女子走り幅跳び決勝 1 L.Galkina 7m05cm(WL) RUS 2 N.Xanthou 6m94cm(SB) GRE 3 F.May 6m91cm ITA 4 ハイケドレクスラー 6m89cm(SB) GER 5 ジョイナーカーシー 6m79cm USA 2000シドニー五輪 女子幅跳び 1 ハイケ・ドイテ・ドレクスラー   (ドイツ) 6メートル99 2 メイ(イタリア) 6メートル92 3 ジョーンズ(米国) 6メートル92 筆 のもと歯科 2004年07月 <<前の記事へ 次の記事へ>>