No.120 平成16年度 第102回クラブ対抗戦



平成16年度 第102回クラブ対抗戦

★10年ぶりの上尾 クラブ戦は10年前まで上尾開催であった。年2回の開催が1回になった時点で鴻巣 競技場へ移ったのである。 しかし今年は埼玉国体のため熊谷競技場は調整中。なぜか鴻巣も使えなくなり上尾に なったのである。 上尾開催には様々な思い入れがある。春高会が最初に参戦した場所でもあり、石田や 五明らが大学生時代から優勝を飾った地でもある。当時は両リレーにも予選がありス ケジュールは過密を極めた。個々の種目も決勝に進むまでには夕方になってしまい、 ナイターが点灯するほどであった。 ★雨中の戦い 戦後最高気温であった今年は9月でも気象は様々であった。35度の日もあれば18 度の日もある。翌週に県新人大会を控えた上尾は、朝から雨であり冷え込んだ。かつ ての定席の閲覧席前に陣地を構えた。 毎年クラブ戦の目玉として、同伴の女性が花を添えてくださるのもうれしい。いかん せん男子校なのでどうエントリーしても女性がいないのだが、このオープンな雰囲気 が幸いする。秋の行楽としてみんな彼女を連れてきてくれるのだ。瀬上、末松、兼 子、森丘、石田、葛西、流、石田、塩川、小島・・・。みなさん遠距離、あるいは陸 上なんて知らない女性だっているだろうに・・・。彼氏(あるいは、ご主人)の試合 に応援に来てくれる女性は素晴らしい!断言しよう。ちなみに石田君の奥様は脚に事 故でケガを負って治療中。しゃがむのも痛みが伴い、つえが必要なくらいの状態で あったが、熱心に応援してくださった。見ている我々が心配になるほどの痛み。感 謝。 ★円盤投げから開始された。 46回石田、47回小島の円盤が最初だった。いうまでもないが、石田は槍の現春高 記録保持者、小島は砲丸投げ15m66(12P)の記録を持つ。二人を知るものはみ なそう思うのだが、こんなに優れた記録からは連想できない「普通の体型」。想像す る大男では決してない。体重とて60キロ代であろう。(つまりは才能プラステク ニックということか) 結果は小島が4位31m44、石田が5位28m80。ここで早々に9点獲得。 100mに出場した五明はかつての200m連覇した選手。400mまでこなし49 秒台の走力を備える。五明は昨年久々にエントリーしてくれた。しかしブランクは重 くのしかかり、100mで12秒をわずかに切れなかった。(電気時計)これに ショックを受けた五明は、今年にかけていた・・・が!春に病気で入院。なんと三半 規管がウイルス感染し機能停止、入院を強いられたのだ。 「まっすぐ走れるかどうか・・・」という電話が、五明の不安を表していた。しかし 彼は走った。「100mは直線だから」というが、大丈夫なのか。雨中の100mス タート。中盤で急にスピードが鈍った!ゴール後は少々脚をひきずる感触となった。 ・・・ハムストリングか・・?。50mでピリッときたのですぐにスピードを落とし て、最小限で食い止めたというのだ。大事に及ばすよかった。これで400mRは棄 権だが仕方ない。 ちなみに雨中低温のためか、故障者が全体に多かった。なんと救急車が2回も呼ばれ る荒れ具合であったのだ。 ★小島が集中 先述したように全国ランカーの砲丸記録保持者である小島だが、慶応時代は競技部に 身を置かなかった。「一浪したし、理系だったから。砲丸は好きだが趣味でやりた かった」という。実際の試合は実に三年ぶりだ。始まった砲丸投げは10数名が参 加、雨をよけるテントもなく16Pの球は3個しかない上に泥まみれである。ふき取 る雑巾もびっちょり。 泥がついて、でこぼこの砲丸での投擲は初めてだ。私には何のテクニックもないが、 力のある選手ほど滑って影響を受けそうだ。みな1〜2m以上も記録が下回っている 様子。小島も2投目までファール。やはり数年のブランクに滑るサークルでは感触が 戻らないか。「大丈夫?」問いかけると、「ちょっと集中してきます。」といって倉 庫の中へ。しばし暗闇の中でシャドーを行い、鏡でそれをチェックしていた。投擲順 番直前だというのにまだ出てこない。こちらが冷や冷やする中、やってきておもむろ に砲丸をつかんでふいた。誰とも目を合わせる事もなく、やや厳しい表情でサークル に入った。「ああっつ!」投擲独特の気合を叫んで砲丸は飛んだ。「いった!」私は 興奮した。ドスッとぬかるんだ地面に鉄球はめりこんだ。「10m20!」よしっ、 2投ファールから一気に3位獲得! ・・・ここ一番に集中し、静かながらも気迫のこもった試技。周囲に声をかけさせな い緊張感。表情もガラッと変わる。 私はある選手を思い出した。「あ・・・瀬上もこんな感じだった・・・・」 ★小島再び ベストエイトに進んだ後、小島は1cm抜かれて4位になってしまった。あわてた私 は「小島、1cm抜かれた!」と促した。小島は落ち着き「わかりました。大丈夫で す」と言ってのけた。明らかに根拠を伴った自信ある態度に、なぜか私はほっとし た。「なんと頼もしい言葉か」・・・5投目、再び小島は厳しい顔つきになってい た。明らかにオーラが出ている。気合一発放った放物線は10mを大きく超えた。 「10m53!!」審判の声に私は小躍りした!やった! そのまま小島は3位キープ。いつもの優しい顔つきに戻っていた(私が言うのもなん だが・・・) 小島の彼女は、うちの1歳児の相手をしてくれていた。大変申し訳ない。とてもやさ しいお嬢さんだ。性格の良さがにじみ出ている。そんな女性である。(勝手に断定し て申し訳ないが) ★49回生の意地 砲丸投げの間に800mの吉田が力走した。先の中国台風での爪あとを修復すべく、 吉田は仕事に明け暮れた。(中国電力)不眠不休もあったという。結局レースは2位 でゴール。ラスト100mは2人によるマッチレースで、非常に残念な準優勝であっ た。「レースに失敗しました・・・勝てた試合なのに。」悔しそうな吉田。中長種目 にとって練習量の不足は致命的である。記録も望めないのはもちろんだが、吉田もそ れは熟知の上でクラブ戦に出ている。学生ではないので時間は自分で捻出するしかな いのだ。どう頑張っても練習できないことも多い。それがこの試合に集まる者のルー ルである。岩槻陸で走ったジン君だってかなり苦しい表情だった。ごまかしのきかな いトラックレースでは私なら怖くて走れないだろう。その後にレースの始まった50 00mで、今年も川崎が力走。魂の走りは8位入賞をもたらした。 流は今年も2種目で奮闘した。110mHは5点を獲得し、なんと幅跳びでもついに 入賞を果たした。4跳躍目jから6mを超えたジャンプに挑んだがファール続きで残 念な結果であった。(今年も彼女はかわいかった) ★常連の石田 閉めはいつものように槍投げである。砲丸以上に時間のかかる試技であり、みんなは ずぶぬれであった。石田とてトレーニングを積んでいられるわけではないし、身体も 衰える。ただインターハイ2位の島根選手以外にはこの10年負けていない。今年こ そリベンジを臨みたい。前半で49m43をマーク。しかし後半は伸ばせなかった。 体も冷える。そこで石田は短助走に切り替えたりして試みたが、56mを投げられて は届かない。残念。かなり滑ったであろう中での49mは立派なものだと思う。 終わってみれば堂々の総合3位。たった一つの高校OBで組む唯一のチームだが、健闘 している。なによりも上下関係の軋轢や、義理などに一切とらわれずに頑張ってい る。なぜこの試合に参加するのか・・・「高校時代がすごく楽しかった・・・」から である。 37回 のもと歯科 <<前へ 次へ>>