No.127 全国に挑む後輩たち 6 東部制覇が示すもの



全国に挑む後輩たち 6 東部制覇が示すもの

いよいよ回を重ね、シーズン開幕である。私はプロ野球の新球団がどうであろうと、 サッカーのアジア予選がどうであろうと何の興味も惹かれない。(仙台は盛り上がっ ているらしいが・・) 母校陸上部の様子がとても気になる。考えてもみたまえ。われわれは一県立高校の運 動部。スポーツで有望中学生を獲得できるわけでもない。それが、全県に、そして全 国へも「春日部高校」の名を再び知らしめようという時代が到来しているのだ。思え ば世は変わった。人口の急減による部活動の衰退、子供のスポーツ離れ。そんな中で 保護者の理解を得、本分である勉強も手を抜かせることなく、日々きびしい練習、合 宿を繰り返し若き後輩たちはがんばってきた。大塚軍団が充電の時期を経て、本当の 開化を見せたのである。もちろん毎年学生はがんばっているし、個人でインターハ イ、国体入賞は幾度かあった。これも立派なものだ。しかし今年のチームは一線を画 する「猛者ぞろい」。かつて比類なき強さを誇った「赤シャツ軍団」の復活といって も過言ではないのだ。これは、我々にとってもなんと名誉な事か。名もなき一OBであ る私としても、ますます応援に熱が入るのは当然なのだ。 ★東部制覇 結果から言えば26年ぶりの東部地区総合制覇!応援に駆けつけた嵯峨根副会長の代 (1978年)が27年前。それまで、春日部高校は東部地区で無敵を誇っていた。しか し翌年急変した。主将をはじめ、実に多くの選手が骨折やケガに泣く不運が驚くほど 重なったのであった。(その代の先輩たちは、さぞかしつらい思い出であったろう) 時代の変化、周囲環境の変化があって、関東インターハイで過去7度の総合杯をとっ た春日部高校も、県、そして東部地区であっても常勝とはいかなくなった。(言うま でもなく、なまけているわけではない。どの代の監督も選手も努力してきた。一点差 で優勝を逃したことも多い) もしも「なんだ、県でもなく東地区大会の優勝か」・・と語る軽薄な者がいたら私の 心中は穏やかではすまないだろう。なぜなら東部地区大会とは、私のような平々凡々 とした選手が必死で頑張った結果、入賞、あわよくば表彰台をめざせる緊張感あふれ る最高の舞台なのだから。この東部地区から多くの選手が、関東、そしてインターハ イへ勝ちぬけていく「激戦区」なのだ。ちなみに私は高校3年の東部での成績、記録 は自分の力量から言って満足であったし、チームへの貢献もできて誇りを持ってい る。一生忘れない思い出だ。 ★第一日 HPに嵯峨根さんも速報を随時送ってくださったので流用させていただこう。 初日の入賞者(監督記) 400m 奥岡 4位 51"20 1500m 徳永 6位 4'15"15 5000mW 金子 2位 24'42"67 小木 4位 25'49"49 4×100mR 田中・奥岡・石川・後藤 1位 42"90 走幅跳 伊藤裕一郎 1位 6m85(+4.6) 高橋 6m53(+4.5) 初日42点 幅跳びの東部優勝というのは、これまた嵯峨根さん以来だと思う。 ずいぶんと風が舞う試合になった様子。身体の軽い高校生には影響大。一周かけ抜け る400mは大変なスタミナをロスしたことだろう。幅跳びだって5m近くも追い風 にあおられたら、踏み切り板どころか、踊ってしまいそう。しかも北西の強風はきつ い。 しかしそれは全員同じ条件。後輩諸君はひるむことなく戦った。 ★第二日 いよいよ注目のスプリント、ハードルが始まった。100mは後藤、伊藤ともに向か い風2mほどの中、余裕の一着。そして田中は追い風を利して11秒26の好タイムで トップ通過。これは面白い。 そして準決勝でも向かい風(−3〜4m!きつい)ではあったが、全員一着で通過し て見せた。 100mの準決勝まで三人全てトップ通過とは、周囲の学校には強烈なインパクト だったろう。何度も何度も「赤シャツ」がテープを切るのだから。無言のプレッ シャーになったはず。 400mH陣も健闘。奥岡はこの風の中での歩数を確認する良い試験になったのでは ないか。 400mH予選。 1組 奥岡  58秒04 1着 3組 小柳 60秒31 3着(2着と同タイム) 4組 寒河江 4着か? 小柳も決勝進出。 800m予選 中村遼太 2′05″50(自己ベスト)、坂井陽平2′07″37(同じく自己ベ スト)なるも、決勝進出ならず。 3000mSCタイムレース決勝 1組目で徳永が10分8秒27(7着)。春日部高校が不得手といわれる長距離種目 で、健闘し2点をもぎ取った!これが大きく総合に響くのはもちろんだ。徳永は15 00mでも6位入賞を果たし、ここでも3点をあげた。春日部高校の中長距離陣を牽 引し、計5点を一人でたたき出した。立派。 いよいよ100m決勝。100mファイナルのレーンに赤シャツ3人が並ぶのは、さ ぞ眺めが良かったろう。 1位:後藤 11秒02 2位:伊藤 11秒23 5位:田中 11秒48(4位と同タイム) 向い風1.8mを突いてのものであった。おしくも後藤、伊藤10秒台ならず。 400mH決勝。 奥岡が優勝、55秒22で圧勝。 小柳は残念9着で得点ならず。しかし大健闘 総合は1位の春日部東高 84点に肉薄し、2位 春日部高 75点で最終日を迎えた。逆 転はなるのか。まだ切り札の110mHと200mを残している。 その2へ <<前へ 次へ>>