No.129 全国に挑む後輩たち7  赤い疾風



全国に挑む後輩たち7  赤い疾風

大塚軍団が、東部大会で27年ぶりの総合杯奪回をはたしてから3週間後。 さらに伝説は進化した。 県大会で「奇跡的な快進撃」を続けたのである。東部総合優勝だけでも、我々は沸きあがったものだが、 それは単なる序章にすぎなかった。 大塚マジック、天才の集中力、新たなる覚醒、主将のプライド・・・ さまざまなサブタイトルが今の私の中には乱発している。 ★ 第一日目 5月13日(金) 第1日目の出場選手 400m 予(7-3+3) 10:45 石川 1500m 予(4-3+3) 11:45 徳永 400m 準(3-2+2) 12:50 4×100mR 予(15-1+9) 14:30 400m 決 15:50 1500m 決 16:25 4×100mR 準(3-2+2) 16:50 ハンマー投 決 10:30 石田・成田 棒高跳 決 11:00 弓削 走幅跳 決 11:00 伊藤ユ・高橋 トップバッターの石川は400m予選を2 位通過、準決勝もタイムを伸ばし50秒85と健闘したが惜しくも3着! (2着プラス2)・・・400mレースが3本でなく2本に終わってしまった。しかし この結果が後の200mに 大きな影響を与えることになる。監督はそれも計算にあったと思われる。いずれにせよ400mで1秒近い記録短縮を したことから も、上り調子の高校2年生だ。 1500Mは徳永。東部大会では、春日部高校の長距離班の全得点をたたき出す大活躍だった。 4 分10秒77で記録更新したが、6着となり決勝を逃してしまった。(3着+3)しかし調子が良い! 3000M障害に大きな期待が持てる。田中、奥岡、高 橋、後藤のオーダーで望んだ400MR予選は余裕の一着通過。 8月まではバトンミスにだけ注意したい。準決勝も42秒18のチーム新記録。このメンバーを 見て驚いたのは、 伊藤を除いているということ。10秒台スプリンターを欠いてこの記録であるから、なんと豊富な布陣か・・・・ ハンマーは石田32M63、成田29M84と入賞にはつながらなかった。しかし成田はまだ2年生。 昨年関東大会で7位入賞をはたしたOB大塚慎之介くんだって、決して大きな身体ではない。 技術をみがけばまだまだ伸びる。棒高の弓削はまだ1年生。前年の県の中学チャンピオンであったが、 惜しくも記録は残せなかった。しかしまだ2年もある。 嵯峨根さん以来の関東の期待がかかった幅跳びだが、伊藤は決勝に進むもなんと7位!!・・・ 久々の7Mジャンパー誕生にはならなかったが、これで短距離に集中できる。ひざも悪いので。 高橋も6M37を跳ぶがベスト8ならず。跳躍班出の私としては、幅での関東も見たかったが・・・。 ★ 第二日目 5月14日(土) 第2日目 集合 8:00 開門 7:30 400mH 予(7-3+3) 10:25 奥岡・小柳 100m 予(7-3+3) 11:30 伊藤ユ・田中・後藤 400mH 準(3-2+2) 12:25 100m 準(3-2+2) 13:05 100m 決 15:15 400mH 決 15:40 4×100mR 決 16:40 決勝種目が多くなってきた二日目は、春日部高校陸上部にとって忘れられない史実が起きようとしていた。 最初に400mHの予選が始まり、奥岡は2連覇をかけて余裕の通過。小柳も健闘し4位に。(3着通過) 午前中最後の種目は100m予選。後藤が追い風1mを受けてなんと10秒71を軽々マーク!一本目から 昨年の自己記録にほぼならんだ。・・・これは調子が良い!次のラウンドが楽しみである。 伊藤も11秒17、田中も11秒00と好記録を連発。田中は陸上ビギナーの2年生。予選全記録を通じて 10秒台は後藤以外に一人だけ。我が校は全員調子が良い。 400mHの準決勝も奥岡は余裕のトップ通過。2年連続ハードル2冠を目指す。 午後一時をまわって、今大会の目玉の一つである男子100m準決勝が始まった。 ★ 目を疑う速報「10秒45」!! 100m準決勝第一組に後藤が登場。最初からぬけだすと他を圧倒して5mもの大差をつけたのだ。 「えっ?」どう見ても速い!これは埼玉県のセミファイナルだ。2位以下だって遅いわけがない。 記録は「10秒47」!!(速報は10秒45) おおーっ。スタンドがどよめいた。 風は惜しくも3.8m・・・速い、恐ろしく速い・・・追い風とはいえ10秒4台なんて、高校生の試合で めったにみられるものではない。「準決勝で記録を狙え」・・・監督の支持通り的中した。 もちろん事実上の自己新記録に値するし、さらに決勝に期待がかかる。 これを直前で見せ付けられた伊藤と田中が燃えた。2組は風が0.7mに弱まったが11秒03で田中も トップ通過。3組では伊藤も追い風3.7mにのって2位ながら10秒81をマーク!! 「赤シャツの快進撃」はゆるぎないものとなった。 「春日部・・強い・・・」スタンドはみなそう思っただろう。 ★ 栄光の瞬間 100m決勝 迎えた決勝は期待を裏切らなかった。後藤は決勝でも2位に4mの大差をつけ圧勝! +2,3mだが10秒50!スタンドがどよめく!一躍インターハイの顔に名乗りを上げた。 驚くべきは2着こそ他校に0.01秒差で譲ったものの伊藤が3位、4位に田中が入った。ともに余裕の10秒台!! うちは短距離の有望選手が集う高校ではない。 古豪中の古豪、旧制第四中学「春日部高校」がだ。 風はわずかに2mを超えてしまったが、もはやそれは問題ではない。ランキングにおける公認か否かの話で しかないのだから。 ゴール後、監督と3選手が新聞にインタビューを受けていた。・・いやはやすごいことになったものだ。 決 勝 風(+2.3) 記録 順位 111 後藤 乃毅(春日部・2)10”50 1 1719 荒木 達也(武南 ・3)10”85 2 93 伊藤 裕一郎(春日部・3)10 ”86 3 106 田中 俊 (春日部・ 2)10”93 4 3032 長沢 尭志(埼玉栄・3)10”94 5 31 関 真人(熊谷・3)11”01 6 3033 永山 裕二(埼玉栄・3)11”02 7 1628 大塚 弘人(朝霞・2)11”09 8 ・・・以下、埼玉新聞ニュースより 納得いく走り 関東で記録を 男子100M・後藤  男子百メートルで快勝した後藤は、「東部地区予選で記録が出ず不安もあったが、きょうで吹っ切れた。 納得いく走りができた」と晴れやかな笑顔を見せた。 全体的にスタートからの加速までがうま くいかなかったが、後半は力強かった。冬季練習で体力づくり 中心のメニューをこなし、「最後まで足が動いた」と後藤。ただ準決勝の10秒47、決勝の10 秒50は いずれも風に嫌われ、追い風参考記録に。「関東で必ず記録を出す」と力を込める。  この種目では後藤のほか、3位に伊藤、4位に田中が食い込み、「春日部勢強し」をアピールした。 後藤は、「練習から競り合えるし、心強い。僕もトップを目指し頑張るだけ」と決意を新たにした。 次へ <<前へ 次へ>>