No.137 全国に挑む後輩たち 番外編 風の球児たち


全国に挑む後輩たち 番外編 風の球児たち

★ もうひとつの「全国に挑む後輩たち」 だんだんインターハイへの道も最終局面となり、 コラムもヒートアップしてきたため一服の清涼剤を・・・・ 7月24日の大宮球場で、我が春日部高校の野球部が五回戦を行った。 ここ最近の我が校野球部は、県のシード校として君臨。 今年も順調に連勝している。卒業生としては何のクラブが強くてもうれしいのだが、 こと野球が強いとその注目度は別格のようだ。 四回戦では川口高校を撃破し、OBも意気揚々と五回戦の日曜を迎えたはずだ。 高校野球は大変だ。陸上からすると考えられない日程で試合をする。 連日連投でヘトヘトになるであろう・・・ 当日、私は歯学部の後輩たちの合宿で新越谷に宿泊していた。 上尾で東部大会があったのだが、帰り道なので野球場に応援に行った。 行ってみてびっくり! 一塁側の外野席まで臙脂色でいっぱいなのだ!! 野球部現役と、やや髪の伸びたOBが野球部ユニフォームを着て陣取る。 後ろ半分は臙脂のトレーナーに身を包んだ父兄の一団が、 入る隙間もないほど(というより学校関係者でない観戦客は 入りにくい雰囲気)である。・・(汗) 私は通路に座ることにした。 私のシャツの背中には「春日部高校・陸上部」と 大きく印字があるのは言うまでもない。 ★ 「・・・これ大利根の壮観ぞ・・・」 巨人の王さん、長島さんは特別なカリスマ性を持ったヒーローなので 素直に憧れ尊敬する。しかし野球自体に関心を寄せたことは私はほとんどない。 どこの球団のファンでもない。 これは単に私が不器用で球技センスのかけらもないためだと思う。 (そんな事はどうでもよい事だが) しかし、母校の野球観戦には興奮した! 三塁側スタンド全体が一体となった応援。 熱気にあふれ、ほとばしる汗。 応援リズムで鉄筋コンクリートのスタンドが揺れる。 「男のにおい」だ。 応援歌・秩父の嶺を叫ぶ 「秩父の嶺を西に見て 利根川の歌きくところ・・・」 ゲームは菊池投手の頑張りで接戦を演じた。 序盤に我が校のホームランも飛び出してスタンドは熱狂! 後輩がデッドボールを当てられるとOBが怒鳴ってヤジる! (ここには書けないような言葉で) テレビの甲子園中継はただ「傍観」しているだけだったが、こんなにも 試合時間を短く感じたことはかつてなかった。 すでに結果はご存知の通り、おしくもベストエイト進出はならなかった。 5回戦(7/24、市営大宮球場) 昌 平 002 100 031  7 春日部 010 100 000  2 相手高校へのエールを贈る。 学生も父母も涙を流しながら拳をあげ、校歌を歌った。 「細き流れをあつめきて 木を裂き岩を穿ちつつ・・」 ★ 春日部高校の卒業生 応援中に様々な出会いがあった。OBがクラブを問わず多く集まっているようだ。 「よっ、野本!」 陸上部の工藤先輩(27回)に声をかけられた。 流(49回)も同期と応援に来たらしい。 「いよー、野本じゃん!げんき?」 何と歯学部の先輩も観戦に来ていたのだ。 私の大学入学当時、歯学部の上級生に春日部高校のOBは5人もいて、 歯科医になってからもいろいろ面倒を見ていただいたのだ。 意外に世間は知らないようだが、医学歯学の世界は「男の体育会」なのだ。 高校も大学もすべてギリギリでやってきた私と違って、 先輩たちはやはり優秀な成績だった。 「ほう、君は春日部高校か」と、比べられて私が苦労したのは言うまでもない。 現在は越谷で開業しておられるこの先輩は、なんと「応援指導部」のOB。 やはり野球の試合には血が騒ぐのだろう。 「最近さ、越谷で神能(陸上部37回)と酒飲むんだよ。 聞いてるよ(ホームページのコラム)。頑張ってるじゃないの。 しっかりやりなよ。」 この先輩は大学時代から「春日部高校」へ想いは強かったので、 よく歯科のアルバイト後に飲むと高校の話をした。 だから今のコラムの活動をとても喜んでくれていた。 「まあ、お前は(春日部高校の)陸上部出だからな・・・」とよく笑っておられた。 同窓生のなかでも陸上部の存在感は強いらしい。(私は何の実績もないのだが) このように様々なOB、父母の方々が春日部高校生の活躍を 熱く見守っているのを改めて感じ取った出来事であった。 ちなみに応援姿が一瞬テレビ埼玉に映った事も書き加えておこう。 (だから何だ!と言わないでほしい。・・・ちょっとうれしかったのだ) ★ 陸上は「疾風」、野球は「爽やかな風」 県大会も五回戦ともなるとどこもキレのある選手ばかりだ。 我が春日部高校も見事に投げて、打って、走って・・ そして特徴的なのはプレイ後の「笑顔」が実に爽やかなのだ。 「・・・ああ、風が吹いている。同じだな(陸上部と)・・」と感じた。 陸上の一種独特の張り詰めた緊張感とはやや異なるが、 どの子も一生懸命やっているのがひしひしと伝わる。 応援席の数百人も同じだ。 一球ごとに大きく一喜一憂し、声が枯れるまで仲間の声援と 「校歌」「応援歌」を肩を組んで歌う(叫ぶ)。 みんな大汗かきながら母校を愛し、OBにあいさつを繰り返す。 泣きながら仲間を応援し、選手は歯を喰いしばってそれに応える。 なんとすがすがしい子供たちなんだろう。 エースの菊池選手も、毎日22時に帰宅し早朝5時に起きて 勉強する生活を続けてきたとの事。 春のシーズンにはチームがまとまらず「野球を辞める」とまで考えた。 それをとめたのは主将の天野捕手だったという。 マスコミや世間で言われている「日本の高校生はだめになった」 「今の若者は・・・」という影などみじんもない。 世に誇れるすばらしい少年たちだと思う。 この子供たちの先輩であることが、改めて誇らしく思えた。 試合には勝てなかったが、実に心地よい清涼感を持てた暑い午後であった。 高37回  のもと歯科 <<前へ 次へ>>