No.138 全国に挑む後輩たち 9−2 赤き疾風 最終稿


★ 初日が大切 我が校初日は400mR予選であった。 男子 4×100mリレー 【千葉県総合スポーツセンター 陸上競技場】 予選 2組 08月02日 9組2着までと上位6チームが通過 順位 高校名(県名) メンバー名 記録 1 春日部(埼玉) 伊藤(裕),奥岡,高橋,後藤 41秒48 準決勝へ 案の定、バトンは危うかったが、関東覇者の國學院栃木を押さえて トップ通過した。 またチーム新記録。 明日からの観戦を控えた診療室に、竹村さんから吉報が入った。 「春高41秒48!トップ通過したよ!」 ★ 「世界の後藤」が起爆剤 先の世界ユースで後藤は6位に入賞する大偉業を成し遂げた。 日の丸をしょって世界大会のファイナルで入賞する金字塔を打ち立てたのである。 (日米中韓などの代表はあったが、IAAF主催の世界大会代表は初の快挙) 世界との競合、黒人スプリンターと真っ向勝負して入賞し、歴史に残る実績を残した。 しかしあえて「全国に挑む」シリーズでは、興奮しないようにしたい。 世界大会も重要、インターハイも重要で「別の目標」である。 数年後の世界ジュニア、そして五輪で、後藤にもう一度「日の丸」を着てもらえたら最高だ。 ★ 運命の8月3日 10:50 100m 予選(後藤乃毅) 12:45 400mH 予選(奥岡真也) 14:10 100m 準決勝 16:20 100m 決勝 18:10 4×100mR 準決勝 この日は全日程の今後に大きく影響するのは間違いない。 流れを見るため大塚監督は、バックスタンドに陣取った。 OBでは村井先輩、嵯峨根先輩、神能先輩、そして私と 49回卒の中山と流も駆けつけてくれた。 結果は余裕のトップ通過 本人はさほどでもないのだろうが、私はカメラのファインダー越しにドキドキだ。 インターハイ100mの後輩を見るのは初めてなのである。 (通常、頻繁に出場できるものではない。) 男子 100m 【千葉県総合スポーツセンター 陸上競技場】 予選 7組 08月03日 9組2着までと上位6人が通過 順位 選手名 高校名(県名) 記録 1 後藤 乃毅 春日部(埼玉) 11秒11 準決勝へ 2 阿部 祐介 盛岡南(岩手) 11秒30 準決勝へ 気になったのは「向かい風」である。強い時は3m以上の向かい風。 体重の軽い後藤はどう考えても不利だ。物理的に同じ風速下なら 重い車のほうが高速道路でも安定するのは必定。・・・・不安。 しかし後藤はセミファイナルも軽くトップで通過し、安定していた。 風は別にして調子は良い様子。 男子 100m 【千葉県総合スポーツセンター 陸上競技場】 準決勝 2組 08月03日 3組2着までと上位2人が通過 順位 選手名 高校名(県名) 記録 1 後藤 乃毅 春日部(埼玉) 10秒69 決勝へ 2 江里口 匡史 鹿本(熊本) 10秒73 決勝へ ★ 主将奥岡に求められる選択 奥岡の400mH予選があったが、脚に違和感を発し記録は望めないものとなった。 複数種目に出場するインターハイでは珍しくない。 的を絞って他を切り捨てることも多い。 34回の佐川健太郎さん(三ツ沢インターハイ)も400mを棄権し、 400mHだけに絞って見事3位に入っている。 やはりトラック種目、特にミドルスプリントはそういった作戦も重要だ。 暑さにやられ、種目の掛け持ちで共倒れする選手はとても多いのだ。 県大会と異なって力を温存できるほど楽なレベルでもなく、 それぞれのアップとダウンもかさなってスタミナのロスはすさまじい。 400m、400mH、リレーなどの掛け持ちができる選手は、 高校生では極めて稀な「怪物」のだ。 しかし奥岡の予選結果が、その後のチームに転機をもたらす結果となったと私は思う。

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