なんと「上位独占。３人が２１分台」・・・もはや日本女性のパワーは抑制が利かな
い程に上昇気流が強い。この１０年の五輪と世界陸上で金、銀、銅メダル獲得。団体
でもケニアを抑え金メダル。世界記録も更新してみせた。もはやマラソン日本女性陣
は「世界最強軍団」である事に疑いの余地はない。
★野口みずき選手━━━━━━━━━━━━━━
＜野口 みずき（のぐち・みずき）＞
１９７８年（昭和５３年）７月３日生まれ２４歳。１メートル５０、４０キロ
宇治山田商高卒９７年ワコール入社。
９９年、藤田監督、同僚の田村育子とともにグローバリーへ。
主な戦績
・９９年札幌ハーフで２位。
・同年１０月の世界ハーフ（パレルモ）２位。
・０１年エドモントン世界選手権１万メートル１３位。
・０２年３月の名古屋国際でマラソン初挑戦、２時間２５分３５秒で優勝。
彼女はハーフマラソン世界トップクラスである（世界歴代１８位）。フルマラソンに
おける彼女への期待は、日に日に高まっていた。02年の名古屋国際で２時間２５分３
５の初マラソンを済ませ、そして２度目のフルマラソンの結果は予想をはるかに上回っ
た。２時間２１分１８秒の記録を打ち立てたのである！世界歴代８位、日本歴代２位、
国内最高記録だ。
○女子マラソン世界歴代１０傑（１月２６日現在）
１）２時間１７分１８秒 ラドクリフ（英国） ０２シカゴ
２）２時間１８分４７秒 ヌデレバ（ケニア） ０１シカゴ
３）２時間１９分４６秒 高橋尚子（積水化学） ０１ベルリン
４）２時間２０分２３秒 魏 亜楠（中国） ０２北京
５）２時間２０分４３秒 ロルーペ（ケニア） ９９ベルリン
５）２時間２０分４３秒 オカヨ（ケニア） ０２ボストン
７）２時間２１分０６秒 クリスチャンセン（ノルウェー）８５ロンドン
８）２時間２１分１８秒 野口 みずき（日本） 03日本
９）２時間２１分２１秒 ベノイト（米国） ８５シカゴ
9）２時間２１分２１秒 孫 迎傑（中国） ０２北京
１１）２時間２１分２２秒 渋井陽子（三井住友海上） ０２シカゴ
★衝撃の大会記録１分３０秒更新！！━━━━━━━━━━━━━━━━━
昨年までの大阪大会歴代記録である。有名外国招待選手らによる好記録が軒並み消し
去られてしまった。
大阪歴代記録
1 リディア・シモン ルーマニア 2000 2:22:54
2 弘山 晴美 資生堂 2000 2:22:56
3 渋井 陽子 三井海上 2001 2:23:11
4 エスタ・ワンジロ 日立 2000 2:23:31
5 テグラ・ロルーペ ケニア1999 2:23:46
有森選手も絶賛するのは上半身の力強さ。おそらく筋力トレーニングで鍛え抜いたの
だろう。１００００mやハーフで必要とされる変幻自在のスピードとバネは魅力的だ。
トラックレースのスピードで４２キロを走り抜く「女王・ラドクリフスタイル」とイ
メージが重なる。スピードマラソン化が常識となった今後は、どんどんこうした選手
が増えていくだろう。・・・じっと集団で牽制しあい、ラストで抜け出し・・・とい
うスタイルは、もはや存在しない。
★下積時代もあった━━━━━━━━━━━━━━━━━
９７年にワコールに入社したものの、藤田監督らと共に９８年退社。無職のランナー
となる。まだ１９歳。周囲からは競技を捨てて再就職の誘いもあったという。ハロー
ワークで失業保険を受け取り、３部屋のアパートで５人が住み貯金を崩しながらの練
習だったという。
アトランタ五輪代表の真木（新姓・山岡）選手は当時を振り返る。「しかし、みんな
は明るかった。監督を信じれば何とかなると思ってがんばった」そして一番年下の
「野口の明るさに、みな助けられた・・・」野口選手の人柄を思わせるコメントだっ
た。
高橋、渋井、野口、千葉・・・日本の女子マラソン一流選手はみな「明るい」。明ら
かにマラソンを楽しんでいる。上下関係にピリピリした雰囲気はみじんもない。もち
ろんどの競技も「死ぬ程つらいトレーニング」は課しているだろう。しかし女子マラ
ソン界の「楽しみたいために日々走る」という明るい雰囲気が強さの源になっている
ように思える。
アテネはいったいどんな人選になるのか・・・高橋、渋井、土佐、野口、千葉、坂本・
・・・たった３人に絞られるのであるから何とも豊富な選剤だ。
筆 のもと歯科
<<前の記事へ 次の記事へ>>
