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No. 84 インフルエンザについて


インフルエンザについて

今年猛威をふるい甚大な被害を及ぼしたインフルエンザ。我々歯科の分野まで、患者
への投薬の注意、麻酔の注意などが叫ばれた。単純な話だが、風邪と何が違うのか?
対応は?・・・・

★風邪とのちがい━━━━━━━━━━━━━━━━━
一般的な風邪の30−50%は人ライノウイルス(human rhinovirus:HRV)で感染
すると言われています。ライノウイルスとかコロナウイルス、エンテロウイルスアデ
ノウイルスなどが有名。多くは飛沫感染(空気中飛来、くしゃみで風邪が移る)、鼻
腔や上気道にくっついて繁殖。ライノウイルスの場合、全身症状が軽く、発熱は37
度台であることが多い。
アデノウイルスの場合は、ライノウイルスとかコロナウイルスに比べて鼻咽頭喉頭の
ほか、下気道感染に移行することがある。結膜炎になることもある。エンテロウイル
スは、夏かぜで有名。ウイルスが食道を通って腸に達すると、下痢になる。


★抗生物質は?━━━━━━━━━━━━━━━━━
ウイルスは細菌にくらべはるかに小さい。構造が全く異なる。抗生物質は細菌のタン
パク合成や細胞壁合成を阻害する効果をもつ。したがって細菌をやっつける抗生物質
を飲んでもウイルスには効果はない。ではなぜ処方されるのか?一時的に気道の粘膜
が炎症を起こし、そのため、二次的に細菌などによる感染を起こしやすくなる。気管
支炎、肺炎、副鼻腔炎、中耳炎などになることがある場合には、抗生物質が使われる。
つまり二次感染の対応薬といってよい。

★インフルエンザの症状━━━━━━━━━━━━━━━━━
インフルエンザの場合は39℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強
く、あわせて普通のかぜと同様の、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られる。更に、
気管支炎、肺炎、小児では中耳炎、熱性けいれんなどを併発し、重症化することがあ
るのもインフルエンザの特徴。さらにインフルエンザは流行が始まると、短期間に乳
幼児から高齢者まで膨大な数の人を巻き込むという点も特異的であるといえる。


★対応と予防━━━━━━━━━━━━━━━━━
インフルエンザウイルスは気温20度、湿度20%くらいが繁殖しやすいといわれて
いる。したがって、加湿、暖房は必至である。抵抗力にも大きく左右されるので不眠、
疲労、偏食は当然避けねばならない。体力の低い幼児や高齢者が死に至る事があるの
は、そのためである。水分摂取も必要であるが、アルコール飲料で・・・というのは
大きな勘違いである。利尿作用によって多くの水分が排せつされてしまう。「のどを
お酒で消毒だ」・・・なんて愚の骨頂である。たかが5から10%のアルコール飲料
では、何の殺菌効果もない。

★医師に処方を━━━━━━━━━━━━━━━━━
結局のところ、医師の診察を受けるのが一番である。素人知識で、「卵酒でものんで
あったかくすれば・・」なんて、意味がない。インフルエンザは処置が遅れて悪化す
れば死をまねく。風邪との違いも医院での検査がなければ判断できないはずである。
昔残っていた風邪薬を飲んで・・・というのも危険だ。解熱剤によって脳症になって
しまう場合もある。一般には感冒薬しか販売されないので、細菌やウイルスには何の
効果ももたない。現在は抗ウイルス薬(タミフルなど)もある。インフルエンザウイ
ルスは症状発現の24時間前から急速に増加し,症状発現後48時間以内に増殖のピーク
に達する.従って,タミフルの投与開始は症状の発現が48時間以内の早期である場合
に限る。医師の診断にまかせるしかないだろう。


★ワクチンは?━━━━━━━━━━━━━━━━━
WHOが推奨した株を基本にして、日本のインフルエンザワクチンは作られている。こ
の10年間、予測と流行したウイルス株はほぼ一致しており、有効なワクチンが作られ
ているのが実情。抗原に対応する抗体を持つため予防接種を受けていれば、インフル
エンザにかからずにすむか、かかっても軽症ですむ。特に高齢者の場合は、インフル
エンザによる入院・死亡を減らすことからも非常に有効である。

ちなみに「超音波加湿器」は水の雑菌が繁殖する恐れがあるので×。スチーム式が○。

筆 加湿器が好きな のもと歯科



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