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No.92 女子マラソンはどこへ (2003.09.10)



女子マラソンはどこへ

1 Catherine Ndereba ケニア 2:23:55 2 野口 みずき 日本 2:24:14 3 千葉 真子 日本 2:25:09 4 坂本 直子 日本 2:25:25 5 Bong-sil Ham 朝鮮民主主義人民共和国 2:25:31 6 Elfenesh Alemu エチオピア 2:26:29 7 Joyce Chepchumba ケニア 2:26:33 8 Olivera Jevtic セルビアモンテネグロ 2:26:49 ★世界陸上から見るアテネ予想 世界陸上としては異例の涼しさが長距離、マラソンに味方したのも言うまでも無い。 男女マラソンは軒並み「大会新」ラッシュだった。しかしヌデレバ以外に2時間20 分を切れる選手が出場しなかったため、この記録が彼女の実力と思ってはならない。 この3年間で女子マラソンの記録は大幅更新され、「超高速化」の時代が到来した。 真夏でのラスト数キロダッシュができる選手しか残れない。今のマラソンは、まるで 5000mトラックレースなのだ。 ★野口、千葉の今後は? 今大会で銀メダル野口は確かに頑張ったが、彼女をアテネ五輪の「メダル候補」では あっても「金メダル候補」とは誰も思っていないだろう。それは本人も断言する。千 葉も大舞台の強さを再び証明してみせたが、いまだ日本の五輪代表にすらなっていな い。通例ならメダリストであるから「当確では?」と言われそうだが、これから彼女 には熾烈を極める国内選考会が待っている。千葉は日本人トップを逃した時点で「負 けたも同然」と思ったのではないか。ここで切符を入手できない以上、数ヶ月後にも う一度ピークを持ってこなければいけなくなった。この大会での疲れを抜きながら再 調整、短期での蓄積とスピードアップが必要になったのだ。長期計画で走りこんでい る国内ライバルより不利になった。 ★代表は誰に? 先述したように帰国した野口から出た言葉は「やはり高橋尚子さんが金メダル候補で す」・・・だった。 いっしょに走ってケニアのヌデレバの底力を思い知ったという。今大会の33キロ手前 でスパートしたヌデレバは、35キロから40キロの間を15分58秒という超高速で飛ば し、後続をちぎった。グローバリーの藤田信之監督も「アテネでは、2時間20分を切 る力とスピード切り替えができないと、勝負になりません」と。 また野口と千葉は、さらに上をいく高橋のダッシュ力をも経験から知っているのだ。 「高橋さんは強いです。いっしょに走ったときは最初から引き離されましたから」と 野口は語る。 一方の小出監督も、同じ門下生の千葉を推したいところだが「Qちゃんは並じゃな い。千葉ちゃんと比べても、38キロで1〜2分速いんだから。アテネの8月の暑い中 だったら、優勝争いできるよ」と。 選考基準も最近は明確になってきたが、初マラソンで新人が大記録をマークしたとた んに「即代表!」だけはもうやめて欲しい。バルセロナの小鴨選手がそうであったよ うに、大器をつぶしかねない。野口と千葉の初マラソンはすごかったのだが、彼女ら は「新人」ではない。 ★金メダルは? ヌデレバの真夏のレースのデータになるはずだったパリ大会だが、秋のような気候で は参考にならなかった。しかし世界大会で彼女は強さと実績を証明した。五輪はすさ まじいプレッシャーと、高温多湿のサバイバルレースである。これが「冬期の記録」 は参考にしかならない所以だ。シドニーでは、当時世界記録保持者のロルーペ(ケニ ア)も玉砕した。イギリスのラドクリフはおそらく最もスピードのある選手だろう。 まるで1500mのようにダッシュするし、トラックでの大舞台経験も多い。しかし 五輪マラソン代表は異なる世界。 そういう点では高橋が俄然有利になってくる。アジア大会での真夏マラソンの強さを 証明し、明るい前向きな性格、尋常でない集中力、一度も大負けした事のない安定 感。そして何より貴重な「五輪の金メダル経験」だ。これは他の選手を断然リードす るであろう。したがってルーマニアのシモンもメダル候補ではある。五輪で銀、世界 陸上で金メダルの経緯は立派だ。(テレビ出演好きだが・・・。) 個人的には高橋選手に連覇してもらい、「象徴」として陸上人気を高揚してもらいた い。女子マラソンやスポーツの人気向上による日本企業活性化は当然期待できるし。 筆 のもと歯科 <<前の記事へ 次の記事へ>>