No.180   100m世界最速は誰か?


★ 東京五輪のボブヘイズ この夏、日本で3回目となる陸上の世界大会が行われる。 1964年の東京五輪、1991年の東京世界陸上、2007年の大阪世界陸上である。 1964年の東京五輪で、「褐色の弾丸」といわれたボブヘイズが10秒0で国立競技場を駆け抜けた。 意外にも準決勝の着順から1レーンに配されたヘイズであったが、 ものともせず10秒0の世界新記録であった。 400mRもアメリカのアンカーとして39秒0の世界新記録でかけぬけた。 もちろん私は生中継でみてはいないが、僅差ではなく2位を大きく引き離す圧倒的な速さであった。 ちなみにボブヘイズは、五輪の覇者と世界記録保持者の看板を引っさげ、 アメリカスポーツ最高峰NFLへ転進していく。 ダラスカウボーイズの快速ワイドレシーバーとして大活躍。 スーパーボウルへも二回出場し、1971年シーズンには優勝している。 人類初の五輪とスーパーボウルの「二冠」となったのだ。 東京大会は、まだ電気時計にはなっていない最後の五輪であり、 1968年のメキシコ五輪から正式に電気1/100秒形式になる。 ★ メキシコ五輪のジムハインズ 1968年の米国選手権(カリフォルニア・サクラメント)の100mで、 人類史上初めて10秒の壁を破る9秒9(手動計時)が記録された。 このときの電気掲示では10秒03であった。 この大会ではほかにも9秒9の世界記録が公認されている。 電気時計で10秒13を出したロニー・レイ・スミスと、 準決勝で10秒09を記録したチャールズ・グリーンである。 ヒートアップしたメキシコ五輪では、奇跡的好記録のラッシュとなった。 空気密度の薄い高地(空気抵抗が薄いため軽い追い風と同じ意味を持つ)、 全天候トラックの反発力・・・多種の要因が伴った。 コラム参照 http://www.kasuriku.net/nomo/104.html>> http://www.kasuriku.net/nomo/105.html>> メキシコ五輪は、ランキング通りジムハインズが優勝。 9秒95の電気掲示人類最初の9秒台に突入した瞬間であった。 ちなみに日本代表の飯島選手は準決勝まで残ったが、10秒34で8着に終わった。 ★ 世界記録と高地記録 9秒95は永らく世界記録として残ったが、15年後にこれを破ったのは カルビンスミスの9秒93であった。 しかしこれも高地記録であり、論議をよんだ。 200mもメキシコ五輪のトミースミスによる19秒83が世界記録であったが、 これをイタリアのピエトロメンネアが19秒72まで更新した。 しかしこれも同じくメキシコシティのユニバーシアードのものであった。 それほど高地での世界大会は、短距離の歴史に大きく影響したのであった。 メキシコ五輪決勝 男子 100m 1位 世界新記録五輪新 ジムハインズ(アメリカ)9″95 200m 1位 世界新記録五輪新 トミースミス(アメリカ)19″83 400m 1位 世界新記録五輪新 リーエヴァンス(アメリカ)43″86 その2へ続く 筆 のもと

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